新規事業開発は「背水の陣」であるべきか?

こんにちは、SOCIAL JAM SESSIONの山本です。
新規事業というと、リスクをとって「背水の陣(後に引けない環境をつくって目の前のことに集中させる戦略)」で全力投球しなければうまくいかないイメージもあるかと思います。今の仕事や職務を辞めないと起業や新規事業は難しいのでしょうか?

新規事業に取り組むこと自体がリスクヘッジ

企業において新規事業に取り組む目的は様々ですが、その根本は「既存事業依存からの脱却」です。どんな事業も未来永劫成長させることはできません。顧客ニーズ変化や競合差別化への対応も含め、既存事業での利益を確保できている段階で、次の手を仕込んでおく「リスクヘッジ」で取り組むのが新規事業です。

新規事業は「正解」がなく、どのタイミングで上手くいくかは誰にもわかりません。PDCAを進める中で企画がスタート地点に戻ることもざらです。そのような「価値ある失敗」を受け入れられる余裕や投資が重要になります。

大事なのは「ポートフォリオ」と「撤退基準」

単一(とは限りませんが)の事業で市場変革をめざすスタートアップは、その余裕や投資について、事業を走らせながら確保する、ある意味「自転車操業」です。新規事業の成立にフルコミットできる環境は確かにスピード感があり、「背水の陣」に近い戦略です。とはいえ、そのようなスタートアップにおいても、メインの事業とは別に受注ビジネスを獲得して、その利益を本業に回している企業は少なくありません。

つまり、ポートフォリオ(自分が持っている時間やお金を、やりたいことにどう配分するか)を考えてアクションしなければ、たった一つの新規事業案に賭ける「背水の陣」でトライせざるを得ない、あるいは、新しい成長事業をつくることができず既存事業がいつか縮小することになります。合わせて、無限にお金や時間があるわけではないので、新規事業や「価値ある失敗」を許容できる「撤退基準」を事前に定めておくことが、逆に精神的な余裕も生み出します。

人生においても「ポートフォリオ」の考え方は必須

企業軸での新規事業を中心にお話しましたが、個人においても「ポートフォリオ」の設計は同様にすべきことだと考えています。そもそも、あなたが「新規事業をしたい」という意思は、「今の自分のままではダメだ」という意識から、つまりはあなた自身のポートフォリオにおけるアンバランスから、でもあると思っています。とはいえ、新規事業の進め方のイメージがない中で「背水の陣」は危険であり、新規事業に全力で向き合うことは実現のうえで大事なのですが、それができるのは楽しめる余裕があるから、というのが私の考えです。

ポートフォリオについてはまた別の機会に詳細をお話しますが、自分がどの程度新規事業に(時間的にも金銭的にも)投資できるか、他のポートフォリオに割いている投資を新規事業に回せないか、などを事前に考えることで、「背水の陣」に頼らず余裕をもって企画できるようになるはずです。

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