こんにちは、SOCIAL JAM SESSIONの山本です。
「エゴ」というと、自分勝手でビジネスの成功を阻害する印象を持つかもしれません。ですが、新規事業においては、企画者である自分がどうしたいかが、少なくとも実現に向けての大きな推進力になります。
「誰かのため」もあなたの立派なエゴ
私のプロフィールでも、「社会課題を解決につながる新規事業開発」が自身のキャリアだと書いていますが、文面通りに私が高尚な人間かというと、明確に違います笑。私は、「私がなんとかしたい、共感できる」という自分のミッションと重なる課題の解決をしたいと考えています。
一般的に、ビジネスで「誰かのため」を設定する場面はマーケティングとしてであり、多くの企業でも理念として掲げられることがある「顧客本位」の観点です。稼ぎ方がシステムとして確立され、マス的に売上を高めるビジネスであれば、この考え方が正しいのだと思います。
反面、新規事業は基本的にはニッチであり、「誰か」をよりピンポイントで定義する必要があります。「イノベーター理論」にご興味があれば検索いただければと思いますが、新しいサービスは大衆にはすぐには理解されない、認知されない(「まわりが使っているから私も」という人が割合として多い)ため、そのサービスへの究極のファンを見つけることが大事だからです。そのように考えた時、「あなたは誰にどうしてあげたいのか」が何よりもサービスの中心になります。
究極の新規事業はエゴを伝える「ラブレター」である
その特定の「誰か」に、自分のやりたいことが何かを知ってほしい、ぜひ利用してもらいたい。企画書やサービス自体から、それを感じ取ってもらい、ファンになってもらう。究極の理想としての新規事業は、相手に喜んでもらえる「ラブレター」と同じです。私はラブレターを書いたことはありませんが笑。
ラブレターは、「私はあなたが好きです」という思い(もといエゴ)を伝えるものですが、それだけで受け入れてもらえるわけではありません。相手をよく知り、相手にも自分のことを知ってもらって互いに共感できることが認識できた状態でこそ、成功確率は飛躍的に高まるでしょうし、新規事業においてもそれは同様です。
忘れてはいけないのは「自分の軸」をしっかり持つこと
「ラブレターを書くうえで相手を知る必要があるのならば、結局顧客へのマーケティングなのでは?エゴよりも顧客が何を望んでいるかを追求するべきなのでは?」と思い返される方もいらっしゃるかもしれません。ただ、企業における通常のマーケティングでは、「あなたが好きな人」ではなく「この商品を支持しそうな人」「戦略的にアプローチすべき人」を選んでいるのではないでしょうか?
さらに言えば、「私はこんな強みがあります」「だからあなたを幸せにします」、それが事業であるわけですが・・・ラブレターに置き換えたら、ちょっと寒いですよね笑?実際の企画書では「強みがどのようにサービス実現にかかわるか」「自分と相手双方に具体的なメリットをもたらし得るか」は当然必要な要素なのですが、わざわざリスクを取って新規事業に挑戦するのに、好きな相手だからといって「御用聞き」をすることはありません。
メインとして大事なのは「自分がどういう人か、どういう考えを大切にしているか」、言い換えれば、あなたの人生を相手は知りたいわけです。あなたとしても、今までの人生を歩んできた自分だからこそ好きな人(理解してくれる人)に、ラブレターを送りたいのではないでしょうか。
企業に所属しながらの新規事業でも、「ラブレター」を意識して企画を進めることはできます。私にとってもそのような企画や顧客と出会えた時は多く、やりがいを強く感じます。とはいえ、企業の経営資源やノウハウで新規事業に取り組む以上、自分の「エゴ」を100%貫くわけにはいかず、一種の理想論にも聞こえます。
逆に言えば、自分の責任範囲でできるビジネスであれば、一見非常識にも思える事業は実現できる。SOCIAL JAM SESSION自体もその挑戦ですし、あなたとそのような事業を一緒につくりたいと考えています。