SESSION STORY Vol.1

私は、これからどのような道を歩むことになるのだろうか

「目の前の誰かに喜んでもらえる仕事がしたい」、そう願いながら新卒ではアパレル業界で営業を経験しつつ、職場でのパワハラや人間関係が合わない日々。実は人見知りを抑え込みながらの業務。気づけば30歳を迎えたときには業界を変えながら三度転職を経験した。今の職場では長く勤めたいとは考えるものの、飽きやすくこだわりが強い性格も自覚している。結局、自分は社会にどう貢献できているのだろう。無意識に心の中の自分がチクリと痛いところを突いてくる。

「だったら、自分でできる仕事ってなんだろう」、ふと頭をよぎった独立の二文字だったが、「それがわからないから困ってるんだよ」とまたも出てくる嫌味な自分。副業でもいい、まずは何か形にしてみたい。その思いが俄に強くなり、Web検索で出合ったのが、“SOCIAL JAM SESSION”だった。

DAY 1

“SOCIAL JAM SESSION”の「INTRO SESSION」は全三回。

Web面談ということだが、そもそも自分の悩みを他人に相談するなんてことは、親友以外には考えたことがなかった。初回面談10分前、心臓の鼓動が急に高まる。なんでも相手は、様々な会社で新規事業を経験してきた人らしい。転職が多いという経歴に親近感がわき、もしかしたら自分のことを理解してくれるかも・・・という淡い期待を抱いていた。予定時間となり画面に現れたその人は、期待に違わぬ柔和で優しい方だった。肩の力が抜け、ふとため息が出る。まずは自己紹介だ、自分の弱いところはまだ見せられないが。

「そうですか、今まで転職を複数回実現できたのは、そのときの失敗を糧にし、成長し、仕事の価値を認めていただけたからですね」

彼にそう返された瞬間、爽快な風が顔を撫でた気がした。そうだ、確かに私は失敗が多い。その失敗は大小様々だが、ネクストアクションこそ重要だと自分自身信じている。それだけでも、私の人生は価値があるのだ。彼はこう続けた。

「世の中には、失敗を恐れたり、一度の失敗で立ち直れない方も大勢いらっしゃいます。たとえば、そのような方々を励ましたり、次の一歩を踏み出す支援をすることも、あなたにできることではありませんか?」

仕事をつくるということは、知識やノウハウが必要な、私のような人間が聞いてもチンプンカンプンな世界なのではと思い込んでいた。

「確かに企画を継続させるためには、営業やマーケティング、事業計画からのPDCAなどのスキルを有しているに越したことはありません。ですがその前に、あなたがなぜその企画を実現したいのか、誰の役に立ちたいのかを突き詰めるほうが、あなたの人生にとって重要なはずです。スキルなんてものは、いくらでも私がお手伝いします。私は、その生き方に共感できる方と、一緒にセッションしたいんです」

彼の真っ直ぐな言葉を受け、偶然の検索から行動に移し出会えた自分を、少し誇りに思えた。

DAY 2

二回目のセッションでは、具体的なビジネスアイデアの議論となった。失敗を前向きに捉えてもらうためには、自分の応援したい気持ちやあたたかさが伝わることが大事だ。とはいえ、初見の方に面と向かってのコミュニケーションはどこか恥ずかしい。新規事業検討という場なら怒られそうな感情も、彼へ赤裸々に吐き出した。

「もしかしたら、失敗から前向きになりたいと思っている方も、カウンセリングや対面でのコミュニケーションだと敷居が高いと感じるかもしれませんね」

なるほど、そうであれば「手紙」という手段で相手を励ますのはどうだろう?お客様から失敗の内容を共有していただけたら、元気になりクスリと笑ってしまうような「手紙」で返事する。「この失敗が自分にとっては必要だったんだな」と実感してもらう。中学時代、親友との交換日記で互いを励まし合い元気付けた日々を思い出した。そうだ、あのときは失敗よりも、挑戦すること自体が楽しい青春だったのだ。その過去を彼に伝えると、笑顔で肯定してくれた。

「まるで失敗はコーヒーみたいですね。コーヒーは苦味や酸味で評価されることが多いのですが、失敗への表現にも似ていて、それでいてその味覚こそが美味しさですから」

なんて気障なことを言うのだとクスクス笑いながら、コーヒー愛好家の私にはとても響くつぶやきだった。そこで、お客様の失敗に合わせてブレンドされたコーヒー豆を、手紙と一緒に送り、「美味しく飲み干してリラックス、次につなげていこう」というメッセージを込めたいというビジネスアイデアに至った。

DAY 3

最終回、彼は前回のビジネスアイデアを図解し、お金の稼ぎ方、アクションプランや検討事項を描き出した。

私のアイデアを実現するには、自分で都度コーヒー豆を焙煎することは難しい。豊富な種類のブレンドを提供しているコーヒー店の協力が必要だ。そのためには、自分の思いに共感してくれるコーヒー店のオーナーがどのような人かを考え、かつ、少しでもお店に貢献できるような仕組みと提案が求められる。私たちは、いくつかの案を用意し、いつまでにどう行動するか計画を立てた。

「新規事業は、まさに失敗がつきものです。最初からうまくいくことはまずありません。ですが、目指す頂上がぶれなければ、登り方や進み方はいくらでもあります。焦らず、しかし着実に前進しましょう」

こうして、私のINTRO SESSIONは終了した。いつでも結果報告や相談をしてほしいと、彼は笑顔で送り出してくれた。今なら言える。自分の歩む道は自分でつくるのだと。あくまでこれは「イントロ」。いよいよ、私を表現するパートがこれから始まるのだ。

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