こんにちは、SOCIAL JAM SESSIONの山本です。
新規事業開発に携わっていると、その実現に向けての考え方や検討方法について、過去の経験をある程度応用できますが、常に新しいことを勉強しなければいけないことを実感します。まさに昨今重要性が叫ばれる「リスキリング」の繰り返しです。
なぜ国内でリスキリングが進まないのか
日本国内でなぜリスキリングが声高に求められているかと言えば、学問を含めて新しい領域の勉強をする時間を確保する社会人が少なく、自分の仕事に対する熟練度を高めたとしても、その仕事自体が時代に合わなくなったときに「生き残れなくなってしまう」からです。
では何を学び直せばいいかというと、DXに必要なIT知識やプログラミング、海外言語などがよく例として挙げられます。ただ、このリスキリングは各企業の制度的な後押しもあれど、思いの外進んでいないようです。
勉強する感覚に慣れていないから?年齢を重ねて覚える気力を失っているから?それらも要因のひとつにあたるかもしれません。ただ、そもそも「この勉強をしないと生き残れないから」という動機は、ワクワクして積極的に取り組みたいと心動かすものではないことが大きいのではないか、と私は考えています。社会人で一定の経験を重ねた方が、「この資格を取っておけば将来どうなっても困らないだろう」といった就活生のような発想になってしまうのも違和感を覚えます。
新規事業開発におけるリスキリングは、目指す未来の明確化から
新規事業開発の部署や業務に、「人材育成」を主とした期待をする企業もあると聞きます。そのような考え方は個人的には好きではありませんが、少なくとも新規事業開発には、通常の業務では難しい新しい経験が得られることの裏返しだと認識しています。
まず、新規事業を企画するうえで、どのような事業をつくるかから自分で決めなければ始まりません。そのためには、自分自身の意思とその背景や根拠(社会の変化やニーズ、会社の方針やメリットなど)を示し続け、所属する会社や顧客からの賛同を得る必要があります。
「何をやりたいか」「何を実現したいか」から明確化することで、そのために必要なことを棚卸しし、必要な知識やスキルを学び直すのです。新規事業開発の経験を有する方だとしても、対象の顧客や市場ならびに事業構造が変われば、そのインプットをしなければ、顧客に喜んでもらえる事業をつくることはできません。
新規事業開発は「経営」のリスキリング
さらに、顧客(場合によっては顧客の課題も)を定義し、サービスの提供価値や実現手段を仮説立て、ヒアリングや実証ならびにβ版で確度を高める。実現手段に技術が必要であればその実現性を確かめ、どのように顧客へ認知してもらうか計画し、それらのコストを考慮したうえで事業性を確認する。事業化した後は計画通りに進行しているか確認し、必要な手をどんどん打っていく。・・・考えなければいけないことややらなければいけないことは膨大です。それぞれの場面でわからないことは勉強し、自分で意思決定をする必要があります。まさに「経営」そのものではないでしょうか。
先のフローを全て自分一人で実行できるようになる必要はありません。代わりに、そのスキルを有する人を見つけ、仲間になってもらうためにはどうしたらいいかを考えればいいのです。どちらにしろ、事業の経営ができるということは、それこそ「将来どうなっても困らない(自分で考えて稼ぐことと同義だから)」と言えるのではないでしょうか。
企業に勤めての新規事業開発でも、副業や個人事業主ならびに起業として事業を始める場合でも同じです。もっとシンプルに考えるならば、「自分が何をしたいか」から考え、そのために必要なスキルをリスキリングしましょう。それ以外のスキルを学んで「いつか」に備えるほど、人生は長くはないのですから。